日本首相岸田文雄在第210届国会施政方针演说(中日全文)

值此第210届国会开幕之际,我再次坚定了守护日本、开创未来的决心。

我将全力以赴应对眼下的物价高企,一定要重振日本经济。通过开展多层次外交,从根本上加强防卫力,坚决维护亚洲及世界的和平与稳定。

全球规模的物价高企;严峻程度急剧升级的安全保障环境;使世界陷入痛苦之中、长达两年半的疫情危机以及能源、粮食危机、全球变暖引发的气候危机;紧张局势已持续半年多的俄罗斯对乌克兰的侵略;动摇国际秩序的地缘政治挑战;正迎来巨大转机的核不扩散机制。

目前,日本真可谓是国难当头。为摆脱世界和日本所处的历史性困境,开创日本的未来,我将坚决果断而认真细致地推行每一项政策。无论面临多大的困难,只要大家戮力同心,一步一个脚印地向前迈进,就一定能够克服困难。

日前对福岛的访问,更加深了我的这一想法。长期以来被认为难以还乡的地区的居民重返家园;五十五个国家和地区中,有四十三个国家和地区取消了进口限制;产业创新据点福岛国际研究教育机构的成立;向我诉说复兴重建的坚强决心的町政府职员;移居到福岛,表示要把福岛「建设成振奋人心的地区」的年轻人。福岛在大家的努力下,正扎扎实实地迈向复兴。

我们能够从东日本大地震这一前所未有的国难中挺身站起来。那么,我们也一定能够战胜当前所面临的困难。我对此深信不疑。让我们共同展望这个国家的未来,一起向前迈进。

<政治姿态>

上周举行的安倍前首相的国葬仪式庄严肃穆。来自海外的众多出席人员表达了哀悼之意,而日本也做到了诚挚郑重地以礼相待。我将郑重对待国民对此提出的各种意见,将其应用到今后的政府运行之中。

关于与原统一教会间的关系,我将倾听并接受国民的声音,履行说明责任,采取各种举措恢复信任。

政府将基于投诉内容开设综合咨询窗口,充实并加强由法律专家提供咨询的支援体制。全力以赴救助那些恶意营销及恶性捐款的受害者,同时,探讨对消费者合同相关法令等进行调整。

我发誓对于国民的严厉意见,也将认真、谦虚、细致地对待。倾听严厉意见的姿态才是政治家岸田文雄的原点,我将再次把这一初心铭记在心,全力以赴履行首相的职责。

<经济政策>

重振日本经济是最预先的课题。日本正逐步克服疫情,社会经济活动也正逐步走入正轨。但是,眼下由于俄罗斯侵略乌克兰和日元贬值等致使能源和食品价格上涨,世界景气面临衰退的担忧,这成为日本经济的一大风险因素。

我将高举新资本主义的旗帜,把「应对物价高企和日元贬值」「结构性涨薪」「旨在实现增长的投资和改革」作为三大重点领域开展举措。

<应对物价高企和日元贬值>

首先,是「应对物价高企和日元贬值」。

对于以食品和能源为主的日常生活品持续涨价的事态,我们采取了措施加以灵活应对。上个月汇总了控制食品和汽油涨价的追加措施。尤其是针对家计负担受到较大影响的低收入家庭采取了紧急支援措施。

紧接着将在本月内汇总综合经济对策,无论如何都要保护国民生活和事业活动不受物价飙升的打击。关于食品,已经采取措施,进入10月后也将维持进口小麦的价格和混合饲料的负担水平。

从现在起到明年春季的一大课题是如何应对面临急剧上涨风险的电费。将果断采取前所未有的措施,直接缓解不断攀升的家庭和企业的电费负担。

此外,还将确保能源的稳定供应,推进可再生能源和节能措施,通过在国内生产农产品确保食品安全等,在能源和食品领域采取措施,推进向具备抗危机能力的经济结构转型。

针对日元贬值,在今后采取措施的同时,最大限度地发挥日元贬值所带来的益处,加大政策力度,向国民还原好处。

自本月11日起,重启无签证入境和个人自由行等,恢复入境游的活力,力争实现访日外国游客消费金额1年超过5万亿日元。还将恢复对全国旅行和各种活动的援助,致力于使需求摆脱疫情影响得到复苏,激发地区活力。

还将发挥日元贬值的益处,提升经济结构韧性。在半导体和蓄电池工厂选址、企业回归国内、扩大农林水产品出口等方面采取相应举措。

<结构性涨薪>

其次,是「结构性涨薪」。

为什么日本长期以来没有实施大幅度涨薪?那是因为日本存在着结构性问题。涨薪能吸引高技能人才,提升企业生产率,从而得以进一步涨薪,实现良性循环,而日本的,这一功能却没能发挥作用。

而这一循环一旦正常发挥作用,就能进一步推动对人的投资,加速良性循环。为此,我将一体化推进涨薪、劳动力的顺畅流动和对人投资这三个课题的改革。

物件高企,如今涨薪已成为迫在眉睫的课题,正因为如此,要从正面果断挑战这一沉积已久的重大问题,致力于实现「结构性涨薪」。

首先,要官民并举,共同致力于实现与当前物价上涨相匹配的涨薪。对于公共部门的价格,也将根据不同制度,在考虑民间工资涨幅的基础上予以改善,并实现可视化,改善照护、护理、保育等现场工作人员的待遇,提高工作效率,减轻工作负担。

此外为技能重塑,即,为转向增长领域工作而再学习,完善支援措施,推动从论资排辈的职能工资向契合日本情况的职务工资转型等,到明年6月汇总旨在实现企业之间、产业之间劳动力顺畅流动的指针。尤其是针对个人技能重塑的官方援助,将把整体举措的对人投资扩充到「5年1万亿日元」。

同时,进一步贯彻落实同工同酬原则。为应对新的工作方式,完善法律体系,打造个人能够作为自由职业者稳定工作的环境。另外,为中小企业实现涨薪,需在提高生产率的同时,强化公平交易委员会等的执行机制,强有力地促进价格转嫁。

<旨在实现增长的投资和改革>

接下来,是「旨在实现增长的投资和改革」。化社会课题为增长引擎,实现可持续发展。基于这一想法,把重点放在科学技术与创新、初创企业、GX(绿色转型)、DX(数字转型)这四大领域,加速官民投资。

第一,关于科学技术与创新,在正在策划国家战略和国家目标的量子、AI、生物等领域,尽早制定出进一步加快官民投资的方策。促进大学等的学部超越文理框架向增长领域进行重组,强化对培养年轻科研人员的支援,并通过改善待遇提高教职员工的质量。

第二,关于初创企业,我本人曾在全国各地与多位初创企业的创业者交换意见。

运用日本独特的技术制造最尖端生物产品;运用IT技术解决地区社会的课题;在东南亚积极发展事业;在福岛研发机器人远程操控技术。他们每一位都肩负着国家的未来,前程无量。从他们这些挑战者中,将会诞生第二、第三个丰田、本田、索尼。怀着这一坚定的信念,我把今年定为初创元年,正在制定五年计划,争取实现初创企业5年增加十倍。

除了从根本上扩充政府采购优惠制度,采取税制优惠措施,给予资金援助外,还将挖掘和培养IT领域年轻优秀的人才,连接日本与海外的初创生态系统等,促进对初创人才的投资。

第三,对绿色转型(GX)的投资。到年底,加速探讨制定经济、社会、产业大变革的GX路线图。其中包括增长导向型碳定价、管制制度一体化大胆的资金援助、转型金融、亚洲零排放共同体。将把以往阐述的政策倡导加以具体化。

同时确保GX的前提条件——能源的稳定供应,在考虑俄罗斯的暴举所引发的能源危机的基础上,直面核电问题。为此,我已发出指示,要求专家到年底就重启十几个核电机组、以及开发建设引进新安全机制的下一代创新型反应堆,加快讨论进程。

第四,对数字转型(DX)的投资。举办了「夏季Digi田甲子园」大会,参与者竞相展示为实现数字田园都市国家构想的举措。大会盛大举办,令人感受到人们对运用数字技术激发地区社会活力寄予的期待空前高涨。

为进一步发展DX,推进个人编号卡与健康保险证挂钩的一体化运用等,使便捷性得到飞跃提升,加快向全体国民普及的步伐,同时重点扶持地区社会数字技术的实际运用。

此外,推进运用元宇宙、NFT(非同质化通证)等Web3.0服务的发展。半导体被誉为产业的粮食,期待其创出巨大的经济效应和就业机会,半导体同时也是经济安全保障的关键所在,今后尤其要在这一领域加大力度。

进驻熊本县的TSMC半导体工厂,据推算,在十年内将为当地创出超过4万亿的经济效应和7千多人的就业机会。

据称仅日本一个国家,十年内就需要增加10万亿投资,我们将把官民的投资集中到这一领域。

本次综合经济对策将强化最尖端技术的研发举措,包括核心技术、日美共同研发并投入量产的下一代半导体技术,以及 Beyond 5G(超越5G)的研发等。

还将实施放宽管制的改革。两年内彻底取消模拟式管制方式,以创新产业,解决人手紧缺问题,提升生产率和收入。

<防疫>

在这里我还要阐述一下有关疫情的应对。

这一年里,在保护国民生命和健康的同时,不叫停社会经济活动。在倾听专家意见的基础上,全力以赴统筹兼顾两者。

今年夏季,三年来首次没有实施紧急事态宣言等行动限制措施,全体国民彻底落实基本防护措施,在大家的配合下,平安度过了这个夏季。我要向不顾感染风险,支撑着医疗福利第一线的所有人表示衷心的感谢。今后,随着入秋转凉,预防流感和新冠病毒的同时流行十分重要。

最重要的是接种疫苗进行预防。上个月启动了抗奥密克戎毒株的新型疫苗接种工作。预计到本月末,接种对象人员所需的新型疫苗将进口到日本。

为迎接元旦新年,本月到11月将是接种疫苗的关键时期,发放接种券,确保接种会场等,完善1天完成100万剂接种的体制,加快疫苗接种进程。同时,还要做好新冠病毒与流感同时流行的准备,确保门诊等卫生医疗体制。

上个月出示了向与病毒共存新阶段过渡的蓝图。基于科学见解采取措施,尽可能将社会经济活动维持在正常水平。

今后,原则上户外继续可以不戴口罩。只要没有近距离交谈,户外不需要带口罩。希望大家采取有张有弛的基本防护措施,努力做到应场景适当佩戴或摘下口罩。

除此以外,为防备下一次疫情危机来临时,可依法采取灵活而有效的紧急应对,已提交了感染症法等修正案。此外,正在强化指挥塔功能,创建日本版CDC(疾病预防控制中心)。

<灾害对策>

今年全国各地也相继发生大雨、台风、地震、火山喷发等自然灾害。我在此向遇难者致以哀悼,并对所有受灾者表示衷心的慰问。

线状降水带所引发的暴雨等灾害日趋频发严重,保护国民的生命财产,尽最大可能减少受灾人员是我们的使命。推进五年加速化对策,并为进一步采取措施制定新的基本计划,从中长期角度持续开展防灾减灾和国土韧性化举措。

<实现包容性社会>

新资本主义的根基是无论男女老少、无论是否残障,所有人都能感受到人生意义的多样化社会。构建全世代型社会保障体制,加强少子化对策,加大力度支援育儿和有孩子的家庭,并采取女性赋权、防止孤独孤立对策,致力于实现包容性社会。

继去年在福冈之后,今年在静冈又发生了一起幼童被遗忘在校车内而死亡的惨痛事故。为了不重蹈覆辙,将采取包括校车安全装置义务化和支援措施在内的紧急应对措施。

<经济对策>

为了应对上述以日本经济复苏和新冠疫情为首的堆积如山的课题,不久前我发出指示制定新的综合经济对策,并将在本月内进行汇总,根据其内容向本届国会提交补充预算。

让我们竭尽全力守护国民的生活,开创我们国家的未来。

<外交与安全保障>

自俄罗斯入侵乌克兰以来,已经过去了半年多。

所谓「编入」行动以及部分动员令的发布,让人们对局势进入新阶段感到担忧。

俄罗斯的暴举正在撼动国际秩序的根基。我将继续强有力地推动对俄罗斯的制裁以及对乌克兰的支援。此外,作为亚洲唯一的七国集团(G7)成员国,日本还将与印度、东南亚、非洲、中南美等各国不断努力共同维护和加强基于法治的国际秩序。

我怀着「今天的乌克兰有可能就是明天的东亚」的强烈危机感,反复呼吁在世界任何地区都决不能允许试图凭借实力单方面改变现状。

包括东海和南海在内,我国周边安全保障环境严峻形势陡增,在此背景下,为坚决捍卫日本领土、领海和领空,最优先的使命就是强化威慑力和应对能力。

从这个观点出发,我将探讨为了在未来五年内从根本上加强日本的防卫能力所需的防卫能力内容,并为此把握预算规模,确保财源,对这些方面加以一体化且强力的推进,争取在预算编制的过程中得出结论。

我将在今年年底之前制定此前一直在讨论的新国家安全保障战略。结合现实情况加速探讨为了守护国民究竟需要什么,不排除包括所谓「反击能力」在内的一切选项。同时将努力强化海上保安能力。

经济安全保障亦是一个重要的课题。日本将致力于《经济安全保障推进法》的顺利实施,并致力于培育太空、海洋和网络等关键技术。

加强日美同盟对于我国的安全和繁荣愈发重要。日本将进一步加强威慑力和应对能力,为地区和平与稳定以及国际社会的繁荣做出贡献。

同时,也将继续努力减轻基地负担。争取早日实现普天间机场的全面归还,推进向边野古的迁移工程。并将采取措施以打造强劲的冲绳经济。

为推进「自由开放的印度太平洋」,日本也会灵活运用日美澳印框架等机制,进一步深化实质性合作,加强与东盟(ASEAN)、欧洲、大洋洲等志同道合国家间的合作。我将为此制定新的计划。在经济方面,也将争取在IPEF(印太经济框架)等举措中取得具体的成果。

上个月迎来了日中邦交正常化50周年。尽管两国间至今仍有诸多课题及悬案,我会对中国坚持应该坚持的主张,切实呼吁中国采取负责任的行动,同时,包括各项悬案在内,通过认真对话,围绕共通的课题开展合作,希望在日中双方的努力下推动构筑具有建设性的、稳定的日中关系。

虽然乌克兰局势导致日俄关系形势严峻,但是我国将坚持奉行解决领土问题、与俄罗斯缔结和平条约的方针。

韩国是我国在应对国际社会各种问题中应当与其合作的重要邻国。在邦交正常化以来建立起的友好合作关系的基础上,有必要恢复健全并进一步发展日韩关系,日本将与韩国政府保持密切沟通。

针对北朝鲜绑架日本人问题这一首要课题,为了实现让所有被绑架受害者早日回国,我将不放过任何机会,全力以赴加以应对。我本人决心可以不附带条件地与金正恩委员长直接会面交涉。依照日朝平壤宣言,争取一揽子解决绑架、核、导弹等各项悬而未决的问题,清算不幸的过去,实现日朝邦交正常化。

在最近的《不扩散核武器条约》(NPT)审议大会上,由于俄罗斯的反对,成果文件未能达成一致,令人极为遗憾。我将利用计划于今年年内在广岛举行的「贤人会议」,根据「广岛行动计划」推进各项举措,并通过维护和加强不扩散核武器条约(NPT)体制,为实现「无核武器世界」采取现实性步骤。

此外,我将在几天前阐述的旨在实现联合国理念的日本决心的指引下,努力强化包括安理会改革在内的联合国职能。

明年,日本将成为安理会非常任理事国,5月,日本作为七国集团轮值主席国将在广岛主办七国峰会。我本人将带头维护和加强基于普世价值的国际规范与原则,致力于解决全球性问题,并为坚决捍卫国民的生命与生计,继续稳步推进新时代现实主义外交。

<选举制度和宪法>

最后,我想阐述一下关乎国家根本的重要课题——选举制度和宪法。

关于众议院议员选举区,为根据今年6月众议院议员选举区划定审议会的建议进行改订,将及时向本届国会提交公职选举法修正案。

在上一届第208届国会上,众议院和参议院共召开了超过20次宪法审查会,开展了近年来少有的热烈讨论。我对此表示欢迎。修正宪法最终必须由国民来判断。为提起动议,期待在国会进行比以往更加积极踊跃的讨论。

<结束语>

在这一年里,我走访了许多现场,与许多人直接对话。的确,日本面临着诸多困难,但同时我也感受到,许许多多变化的萌芽、未来的希望也正在萌生。正如刚才我提及的福岛的复兴;全国大显身手的初创企业;运用数字技术激发地区社会的活力。

我希望凝聚起男女老少所有人的力量,把已经开始萌动的新生力量变成一股巨大的潮流,去开辟日本的未来。

「行开诚布公感同身受之政」。我将秉持这一姿态,沿着正道,一步一个脚印向前迈进。为了这个国家的未来,今后也将继续全心全意付出努力。

感谢各位的聆听。


(はじめに)

 第二百十回国会の開会に臨み、日本を守り、未来を切り拓(ひら)く覚悟を新たにしています。
 足下の物価高への対応に全力をもって当たり、日本経済を必ず再生させます。多層的な外交の展開と防衛力の抜本的強化を通じて、アジアと世界の平和と安定を断固守り抜いてまいります。
 世界規模の物価高。急速に厳しさを増す、安全保障環境。
 二年半にもわたって世界を苦しめてきている感染症危機や、エネルギー・食料危機、さらには、温暖化による気候危機。
 半年以上も緊迫した情勢が続く、ロシアによるウクライナ侵略。
 国際秩序を揺るがす、地政学的挑戦。大きな変わり目を迎える、核不拡散体制。
 今、日本は、国難とも言える状況に直面しています。
 世界が、そして日本が直面する歴史的な難局を乗り越え、我が国の未来を切り拓くため、政策を、一つひとつ果断に、かつ丁寧に実行していきます。
 どんな困難も、皆が力を合わせ、一歩一歩前に進むことで、必ず乗り越えることができる。
 先日訪問した福島で、私はその思いを一層強くいたしました。
 長期にわたり、帰還が困難とされた区域への住民の帰還。
 五十五の国と地域のうち、四十三の国と地域での輸入規制の撤廃。
 産業創出の拠点となる、福島国際研究教育機構の設立。
 私に、復興に向けた強い思いを語ってくれた町役場の職員。
 福島を、「ワクワクするような地域にしていきたい」と語ってくれた移住してきた若者。
 多くの皆さんの力により、福島は、着実に、復興に向け、歩みを進めています。
 東日本大震災という未曽有の国難からも、立ち上がることができました。そうであれば、今我々が直面する困難も、必ずや、乗り越えていける。私は、そう確信しています。
 共にこの国の未来を見据え、歩みを進めていこうではありませんか。

(政治姿勢)

 先週執り行った安倍元総理の国葬儀は、厳粛かつ心のこもったものとなりました。海外からお越しになった多数の参列者の方々から寄せられた弔意に対し、礼節をもって、丁寧にお応えすることができたと考えております。その際、国民の皆様から頂いた様々な御意見を重く受け止め、今後に活かしてまいります。
 また、旧統一教会との関係については、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら、信頼回復のために、各般の取組を進めてまいります。
 政府としては、寄せられた相談内容を踏まえ、総合的な相談窓口を設け、法律の専門家による支援体制を充実・強化するなど、悪質商法や悪質な寄附による被害者の救済に万全を尽くすとともに、消費者契約に関する法令等について、見直しの検討をいたします。
 国民の皆様からの厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていくことをお誓いいたします。「厳しい意見を聞く」姿勢にこそ、政治家岸田文雄の原点があるとの初心を、改めて肝に銘じながら、内閣総理大臣の職責を果たすべく、全力で取り組んでまいります。

(経済政策)

 日本経済の再生が最優先の課題です。
 我が国は、コロナ禍を乗り越え、社会経済活動の正常化が進みつつあります。しかし、足下では、ロシアによるウクライナ侵略と円安によるエネルギー・食料価格の高騰、世界の景気後退懸念が、日本経済の大きなリスク要因となっています。
 新しい資本主義の旗印の下で、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」の三つを、重点分野として取り組んでいきます。

(物価高・円安対応)

 まず、「物価高・円安への対応」です。
 我々は、食料品とエネルギーを中心に、生活に身近な商品の値上がりが続く事態に対し、機動的な対応を行ってきました。
 先月には、食料品やガソリンの値上がりを抑えるための追加策を取りまとめました。特に家計への影響が大きい低所得世帯向けに、緊急の支援策を講じました。
 間を空けることなく、今月中に、総合経済対策を取りまとめ、何としても、この物価高から、国民生活と事業活動を守り抜きます。
 食料品については、既に輸入小麦価格、配合飼料の負担を十月以降も据え置く措置を講じています。
 これから来年春にかけての大きな課題は、急激な値上がりのリスクがある電力料金です。家計・企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない、思い切った対策を講じます。
 さらには、エネルギー安定供給の確保、再エネ・省エネの推進、農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保など、エネルギー・食料品について、危機に強い経済構造への転換に取り組みます。
 円安に対しては、これらの対応と併せ、円安のメリットを最大限引き出して、国民に還元する政策対応を力強く進めます。
 今月十一日から、ビザなし渡航、個人旅行再開など、インバウンド観光を復活させ、訪日外国人旅行消費額の年間五兆円超の達成を目指します。全国旅行支援やイベント支援も再開し、コロナ禍からの需要回復、地域活性化を図ります。
 さらに、円安メリットを活かした経済構造の強靱(きょうじん)化を進めます。半導体や蓄電池の工場立地、企業の国内回帰や、農林水産物の輸出拡大などに取り組みます。

(構造的な賃上げ)

 次に、「構造的な賃上げ」です。
 なぜ、日本では、長年にわたり、大きな賃上げが実現しないのか。
 そこには、賃上げが、高いスキルの人材を惹(ひ)きつけ、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げを生むという好循環が、機能していないという、構造的な問題があります。
 一たび、このサイクルが動き出せば、人への投資が更に進み、この好循環は加速していきます。
 そのため、賃上げと、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革を進めます。
物価高が進み、賃上げが喫緊の課題となっている今こそ、正面から、果断に、この積年の大問題に挑み、「構造的な賃上げ」の実現を目指します。
 まず、官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組みます。
 公的価格においても、制度に応じて、民間給与の伸びを踏まえた改善等を図るとともに、見える化を行いながら、看護、介護、保育をはじめ、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進めます。
 また、リスキリング、すなわち、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備や、年功制の職能給から、日本に合った職務給への移行など、企業間、産業間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年六月までに取りまとめます。
 特に、個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を、「五年間で一兆円」のパッケージに拡充します。
 あわせて、同一労働同一賃金について、その遵守を一層徹底してまいります。
 新しい働き方に対応するため、個人が、フリーランスとして、安定的に働ける環境を作るべく、法整備にも取り組みます。
 また、中小企業における賃上げに向け、生産性向上とともに、公正取引委員会等の執行体制を強化し、価格転嫁を強力に進めます。

(成長のための投資と改革)

 そして、「成長のための投資と改革」です。
 社会課題を成長のエンジンへと転換し、持続的な成長を実現させる。この考えの下、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXの四分野に重点を置いて、官民の投資を加速させます。
 第一の科学技術・イノベーションについては、国家戦略・国家目標の策定を進めてきた、量子・AI・バイオなどの分野において、官民の投資をこれまで以上に進めていくための方策を、早急に具体化します。
 また、文理の枠を超えて行う、成長分野への大学等の学部再編促進や、若手研究者の育成に向けた支援強化、処遇見直しを通じた教職員の質の向上にも取り組みます。
 第二のスタートアップについては、私自身、全国各地で、多くのスタートアップの創業者と意見交換を行ってきました。
 日本ならではの技術を用いた最先端のバイオものづくり。IT技術を活用しながらの地域課題の解決。東南アジアでの積極的な事業展開。福島の地でのロボットの遠隔操作技術の開発。
 いずれの皆さんも、この国の未来を切り拓いていくにふさわしい、大変頼もしい方々ばかりでした。
 第二、第三のトヨタ、ホンダ、ソニーは、彼ら挑戦者の中から生まれる。その強い思いから、本年をスタートアップ元年とし、スタートアップ五年十倍増を視野に、五か年計画の策定に取り組んでいます。
 公共調達における優遇制度の抜本拡充、税制上の優遇措置や資金面の支援に加え、若く優れたIT分野の才能の発掘・育成、日本と海外のスタートアップ・エコシステムの接続など、スタートアップ人材への投資も進めます。
 第三に、グリーン・トランスフォーメーション、GXへの投資です。
 年末に向け、経済・社会・産業の大変革である、GX推進のためのロードマップの検討を加速します。
 その中で、成長志向型カーボンプライシング、規制制度一体型の大胆な資金支援、トランジション・ファイナンス、アジア・ゼロエミッション共同体。これまで申し上げてきた政策イニシアティブを具体化していきます。
 同時に、GXの前提となる、エネルギー安定供給の確保については、ロシアの暴挙が引き起こしたエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の問題に正面から取り組みます。
 そのために、十数基の原発の再稼働、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設などについて、年末に向け、専門家による議論の加速を指示いたしました。
 第四に、デジタル・トランスフォーメーション、DXへの投資です。
 デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組を競い合う、「夏のDigi田(デジでん)甲子園」を開催しました。
 多くの方に参加いただき、デジタル活用による地方創生に向けた期待の高まりが、感じられる大会となりました。
 DXの一層の推進に向け、マイナンバーカードについて、健康保険証との一体化など、利便性の向上を飛躍的に進め、概ね全ての国民への普及のための取組を加速するとともに、地域でのデジタル技術の社会実装を重点的に支援していきます。
 また、メタバース、NFTを活用したWeb3.0サービスの利用拡大に向けた取組を進めます。
 産業のコメと言われ、大きな経済効果、雇用創出が見込まれ、経済安全保障の要でもある半導体は、今後特に力を入れていく分野です。
 熊本に誘致したTSMCの半導体工場は、地域に十年間で四兆円を超える経済効果と、七千人を超える雇用を生む、と試算されています。
 我が国だけでも、十年間で十兆円増が必要とも言われるこの分野に、官民の投資を集めていきます。
 今回の総合経済対策では、中核となる日米共同での次世代半導体の技術開発・量産化や、Beyond5Gの研究開発など、最先端の技術開発強化を進めます。
 規制改革にも取り組みます。二年で、アナログ的規制を一掃し、新産業の創出、人手不足の解消、生産性の向上や所得の増大につなげます。

(新型コロナ)

 ここで、新型コロナ対応についても申し上げます。
 この一年、国民の命と健康を守りながら、社会経済活動を止めない。専門家の皆さんの意見を聞きながら、この二つの両立に全精力を傾けてまいりました。
 三年ぶりに、緊急事態宣言等の行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れたのは、国民の皆様お一人おひとりが、基本的な感染対策を徹底してくださったおかげです。
 また、日々の感染リスクがある中で、医療、福祉の現場を支えていただいている方々に、厚く御礼申し上げます。
 これから、秋が深まるにつれ、インフルエンザと新型コロナが同時流行した時の備えが重要となります。
 何よりも重要なのは、ワクチンによる予防です。
 先月から、オミクロン株に対応した新型ワクチンの接種を開始しました。今月末までには、対象者全員分の新型ワクチンが輸入される見込みです。
 年末年始に備えて、山場となる今月から十一月にかけて、接種券の配布、会場確保など、一日百万回を超えるペースの体制を整備して、ワクチン接種を加速していきます。
 インフルエンザとの同時流行を想定した外来等の保健医療体制の確保も進めます。
 また、先月には、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像をお示ししました。科学的知見に基づきながら、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう、取り組んでまいります。
 マスクについては、引き続き、屋外は原則不要です。近くで会話をしない限り、屋外でのマスクは必要ありません。基本的な感染対策はメリハリをつけて、マスクは場面に応じた適切な着脱に努めていただきたいと思います。
 これらの取組に加え、次の感染症危機に備え、法律に基づき、機動的かつ効果的な緊急時対応が可能となるよう、感染症法等の改正案を提出いたします。また、司令塔機能の強化、日本版CDCの創設にも取り組んでいきます。

(災害対策)

 今年も、全国各地で、大雨、台風、地震、噴火などの自然災害が相次ぎました。お亡くなりになられた方々に、哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 線状降水帯による豪雨など、災害が、激甚化・頻発化する中で、国民の生命・財産を守り、災害の被害に遭う方を、一人でも減らすことは、我々の使命です。
 五か年加速化対策を推進するとともに、更なる取組のための新たな基本計画を策定し、中長期的かつ継続的に、防災・減災、国土強靱化に取り組みます。

(包摂社会の実現)

 また、新しい資本主義を支える基盤となるのは、老若男女、障害のある方もない方も、全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会です。
 全世代型社会保障の構築を進め、少子化対策、子育て・こども世代への支援を強化するとともに、女性活躍、孤独・孤立対策など、包摂社会の実現に取り組みます。
 昨年の福岡に続き、静岡で、幼いお子さんが送迎バスの中に置き去りにされ、お亡くなりになるという痛ましい事故が再び起こってしまいました。二度とこうした悲劇を繰り返すことがないよう、送迎バスの安全装置の義務化と支援措置を含む、緊急対応策を講じてまいります。

(経済対策)

 以上、申し上げてきた、日本経済再生、新型コロナをはじめとした山積する課題に対応するため、先日、新たな総合経済対策の策定を指示しました。今月中に取りまとめを行い、その内容を踏まえて、今国会に補正予算を提出いたします。
 全力で、国民の暮らしを守り、この国の未来を切り拓いていこうではありませんか。

(外交・安全保障)

 ロシアによるウクライナ侵略が始まり、半年以上が経ちました。
 いわゆる「編入」の動きや、部分的動員令の発動により、新局面に入ることが懸念される事態となっています。
 ロシアの暴挙は、国際秩序の根幹を揺るがすものです。対露制裁、対ウクライナ支援を、引き続き強力に推し進めます。また、アジア唯一のG7メンバーとして、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化を、インドや東南アジア、アフリカ、中南米などの国々と共有する努力を重ねていきます。
 私は、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」との強い危機感から、力による一方的な現状変更の試みは、世界のいずれの地域でも許されないと、繰り返し訴えてきました。
 東シナ海、南シナ海を含め、我が国周辺でも安全保障環境が急速に厳しさを増す中、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、抑止力と対処力を強化することは、最優先の使命です。
 その観点から、我が国防衛力の五年以内の抜本的強化に必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握及び財源の確保を、一体的かつ強力に進め、予算編成過程で結論を出します。
 これまで議論を進めてきている、新たな国家安全保障戦略等を本年末までに策定します。いわゆる「反撃能力」を含め、国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速します。あわせて、海上保安能力の強化にも取り組みます。
 経済安全保障も重要な課題です。経済安全保障推進法の円滑な施行とともに、宇宙、海洋、サイバーなどの重要技術の育成に取り組みます。
 我が国の安全と繁栄にとって、日米同盟の強化がますます重要です。抑止力と対処力を一層強化し、地域の平和と安定及び国際社会の繁栄に貢献していきます。
 同時に、基地負担軽減にも引き続き取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。あわせて、強い沖縄経済を作るための取組を進めます。
 「自由で開かれたインド太平洋」を推進するため、日米豪印等も活用しつつ、実質的な協力を一層進め、ASEANや欧州、大洋州などのパートナーとの連携を強化します。そのための新たなプランを策定します。経済面でも、IPEF等の取組において具体的な成果を目指します。
 先月、日中国交正常化五十周年を迎えました。両国間には現在でも様々な懸案がありますが、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」を日中双方の努力で構築していきます。
 ウクライナ情勢によって日露関係は厳しい状況ではありますが、我が国として、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
 韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させていく必要があり、韓国政府と緊密に意思疎通していきます。
 最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意です。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
 先般のNPT運用検討会議において、ロシアの反対により、成果文書が採択されなかったことは極めて遺憾です。年内に広島で開催予定の「賢人会議」も活用し、「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿って取組を進め、NPT体制を維持・強化することで、「核兵器のない世界」に向けた現実的な歩みを進めていきます。
 加えて、先日示した国連の理念実現に向けた日本の決意の下、安保理改革を含む国連の機能強化に取り組みます。
 来年、我が国は、安保理非常任理事国となり、五月には、G7議長国として広島でサミットを主催します。私自身が先頭に立ち、普遍的価値に立脚した国際的な規範や原則の維持・強化、地球規模課題への取組、そして、国民の命と暮らしを断固として守りぬく、新時代リアリズム外交を、引き続き、着実に推進していきます。

(選挙制度・憲法)

 最後に、この国の根幹に関わる重要な課題として、選挙制度と憲法について申し上げます。
 衆議院議員の選挙区について、本年六月の衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に基づいた改定を行うため、公職選挙法の改正案を、今国会に速やかに提出いたします。
 先の第二百八回国会においては、衆議院・参議院合わせて二十回を超える憲法審査会が開催され、近年になく活発に御議論いただきました。このことを歓迎いたします。憲法改正は、最終的には、国民の皆様による御判断が必要です。そのための発議に向け、国会の場において、これまで以上に積極的な議論が行われることを期待します。

(結語)

 私は、この一年、多くの現場を訪問し、多くの皆さんと、直接、対話を重ねてきました。
 確かに、我が国は多くの困難に直面していますが、他方で、変化の芽、未来に向けた希望もまた、多く生まれ始めているとも感じています。
 冒頭触れた、福島の復興もそうです。
 全国のスタートアップの皆さんの活躍もそうです。
 デジタルの力を活用した地域活性化もそうです。
 若者、お年寄り、男性も女性も、多くの皆さんの力を結集し、胎動し始めた新しい動きを、大きな流れにして、この国の未来を切り拓いていきたいと思います。
 「信頼と共感」。この姿勢を大切にしながら、正道を、一歩一歩、前に向かって歩んでいく。
 この国の未来のために、これからも全身全霊で取り組んでまいります。
 御清聴ありがとうございました。

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