感谢今天能有机会在世界首屈一指的伦敦金融城发表演讲。我谨向为实现本次演讲付出努力的市长查尔斯•鲍曼勋爵以及伦敦金融城政府的各位表示由衷的谢意。
俄罗斯侵略乌克兰的暴举,是企图凭借武力改变主权和领土完整的公然违反国际法的行为。在布恰等地还发现了极其惨无人道的对平民的袭击。对这种违反国际法、犯下战争罪的行径,我们决不能容忍,以最为强烈的措辞予以谴责。
尤其是作为现实问题不能不思索使用核武器的威胁的状况已经出现,对此我怀有一种特殊而强烈的情感。那是因为,我是曾遭受核爆的广岛出身的政治家。在我的亲属中,就有遭受过核爆的,也有死于核爆的。从幼时起,我就反复听人讲述核武器的事情。这就是我的原始体验。这一“广岛的记忆”驱使我为重建和平而行动。
要实现和平,国际社会必须明确表示,“暴举”是要付出代价和责任的。英国政府和英国人民以毅然决然的态度面对俄罗斯,向乌克兰伸出援手,我对此致以最崇高的敬意。
俄罗斯发动侵略后,日本立即全力实施经济制裁和人道主义援助。我们将继续与英国和国际社会携手,为早日终止这种惨无人道的行径,为重建和平,毅然决然地加以应对。
对乌克兰的侵略导致原油、资源和粮食价格的飙升以及市场不稳定等,世界经济正遭受着剧烈震荡。而新冠疫情又雪上加霜,使许多国家陷入经济困境。
要为捍卫民主主义而战,我们自身必须强大起来。今年二十国集团(G20)峰会的主题是“携手实现更强劲的复苏”。在到访英国之前,我访问了今年二十国集团主席国印度尼西亚、以及越南和泰国,确认了与亚洲各国共同致力于强劲复苏。日本将通过能源采购多元化、最大程度地引进可再生能源以及利用核能,实现能源来源的多样化等,从而克服自身在能源自给率方面的脆弱性,与此同时也将为世界的复苏作出积极贡献。
本次的问题不只是欧洲的问题,是关乎包括亚洲在内的世界秩序的问题。为了不传递错误的信息,为了无论如何不能让凭借武力单方面改变现状的做法重演,我们将与各国协调一致,以坚定的决心采取行动。
时代正在发生巨变,但共享自由、民主主义、人权和法治这些普世价值观的日英两国,无论在安全保障还是在经济上,今后也将继续是好伙伴。
女士们、先生们,让我们进一步团结一致,把我们信奉的价值观捍卫到底。
在此之上,今天我想阐述一下我所倡导的经济政策,尤其是关于“新资本主义”。
我要传达的信息只有一个:“日本经济今后也将保持强劲增长,希望大家放心地投资日本。”投资岸田(Invest in Kishida)。
当然,日本面临着很多课题。为解决这些课题,我决心站在最前沿,果敢无畏地推进改革。地缘政治风险发生了巨变,供应链的重组,资源和能源的采购与供应方式以无法想象的形态发生变化,这是一个不稳定的时代。正因为如此,日本的稳定性就成为一种优势。我要说,持续增长、且保持稳定的日本市场,以及安全放心的日本企业、产品和服务都是值得“买进”的。
在进入正题之前,我简单地自我介绍一下。年幼时,因父亲工作的关系,我在纽约上了当地的小学。儿时的我,对美国经济的繁荣及其多样性深有感触。
1982年至1987年,我供职于日本的一家扶持产业复兴的银行。我是日本战后第一位金融界出身的总理大臣。当时,我负责挣扎在激烈国际竞争中的海运行业的融资业务,也曾多次目睹过企业的破产,还与经营层合作,帮助企业实现重建。
通过这些工作,我深信只有在民间“动物精神”支撑下的强劲的经济才是最为重要的。1993年当选国会议员后,我始终把产业政策、科技政策和中小企业政策作为我毕生的事业,致力于激发日本经济的活力。
出于上述经历,我要自豪地说,最近几任总理大臣中我是最精通经济和金融实际的。今后在推行政策的过程中,我将继续倾听市场的声音,倾听现场的声音。
在此之际,重要的是,无论过去还是将来,日本都坚持向世界开放的贸易和投资立国政策。日本将通过与世界互联互通,在人员、物资、资金和数字方面与世界自由往来,不断获得成长。
去年年底,由于奥密克戎毒株在全球蔓延,日本加强了口岸防疫对策。对于延缓病毒输入国内、确保医疗供给体制以及推进疫苗接种进程,这一对策是必不可少的。纵观全球,日本采取的新冠防疫对策是成功的。目前防疫对策已大幅度放宽,6月份,日本还将进一步放宽口岸对策,以便像七国集团其他成员国一样,实现顺畅的入境。
英国自古以来就是,而近年来,更以伦敦金融城为中心,成为国际金融的一大据点,通过与世界互联互通实现了繁荣。我坚信,同为海洋国家的日本,与世界互联互通是发展的必要条件。
基于上述观点,近年来日本成为世界上最积极践行自由贸易的国家。去年,日英经济伙伴关系协定(EPA)生效,而现在,日本正在大力支持已进入相关程序的英国加入跨太平洋伙伴关系协定(TPP)。日本今后也将对世界开放。欢迎大家来日本。我们将以最盛情的待客之道款待大家。
接下来,进入正题。
什么是新资本主义?简而言之,就是资本主义的升级版。是更加强劲的、可持续发展的资本主义。
为什么需要升级?那是因为需要解决当代的两个课题。
一个是贫富差距扩大、全球变暖问题、城市问题等负外部性的问题。全球资本主义拉动了增长,使人们变得富足。其功劳应得到公正的评价,但它同时也带来了负面影响。
另一个是来自威权主义国家的挑战。威权主义体制无视规则,以不公正的经济活动等获得迅猛经济发展,自由主义和民主主义正在遭到严峻的挑战。我们必须把自己的经济打造成可持续发展的、包容性的,只有这样才能捍卫自由和民主主义。
我们将以资本主义的升级版来应对上述两个课题。迄今为止,资本主义至少经历了两次大转型。一次是从自由放任主义向福利国家的转型,一次是从福利国家向新自由主义的转型。这两次转型,钟摆在“市场还是政府”“官还是民”之间大幅摇摆。而第三次转型,即“新资本主义”则是“既要市场也要政府”、“既靠官也靠民”。换言之,不是以“or”,而是以“and”来连接,官民携手共创新的资本主义。
为了最大限度挖掘民的能力,官要比以往任何时候都积极地采取行动;而民也要大力发挥作用,解决以往被认为属于官的领域的社会课题。
在新资本主义理念下,我们不是把社会课题视为障碍,而是将其转换为增长的引擎。官方起到引导作用,在需要解决的课题的领域创出市场,筹集民间资金,官民携手解决社会课题,与此同时实现强劲的增长,“双管齐下”打造可持续发展的经济。
为此,必须推进下列举措:消除分配中的不畅通;解决对产生新附加值领域投资不足的问题;助推劳动力向新领域转移;促进多样化;实现健全的新陈代谢。
具体在哪些领域如何采取举措?有四大支柱:“对人的投资”“对科技和创新的投资”“对初创企业的投资”以及“对绿色和数字的投资”。
首先,岸田政权成长战略的核心定位是对人力资本的投资。
今后的时代,相比有形资产“物”,无形资产“事”更为重要。特别是,要在数字化和脱碳化大变革的浪潮中发挥创造力,人才是至关重要的。尤其是日本今后将面临劳动力短缺的局面,如何创造附加值变得更为重要。在此背景下,我们有必要从流量和存量两方面加强对人的投资。
在流量方面,对人的投资首先是工资问题。单位时间劳动生产率的提升,日本不逊色于其他国家,但工资的增长却处于低水平,这是日本所面临的重大课题。工资不涨,就无法扩大消费,也就无法实现下一个增长。为了在提升生产率的同时,相应地上调工资,我们将实施促进加薪税制等,官民携手酿造出上调工资的社会氛围。
其次,关于存量方面对人的投资,对职业培训、继续教育、终身教育等的投资至关重要。现在,日本企业在这一领域的投资远远低于其他国家。日本政府已经出台了3年内投入4000亿日元的一揽子政策,今后,还将进一步加强教育培训投资,增加人力资本的储备,从而积极支持劳动力转移和雇用流动化。尤其在鼓励兼业和副业的同时,在技能重塑方面加大力度。
在此之际,一个重要的关键词是多样化。日本有许多杰出的女性和年轻人。此外,外国人也在不断增加。今后,日本企业必须在企业组织中进一步启用多样化的人才。采取灵活的工作方式,并扩充育儿援助等措施,帮助企业以多样化促发展。
存量方面对人的投资还有重要的一点是“由储蓄转向投资”。据称,日本的个人金融资产达2000万亿日元,而其中一半以上是以储蓄和现金形式持有的。在过去二十年里,美国的家庭金融资产增加到3倍,英国增加到2.3倍,而日本则仅为1.4倍。日本在这方面拥有巨大的潜力。
我将大胆且彻底地推动由储蓄向投资的转移,通过投资实现资产收入翻倍。为此,将彻底扩充小额投资免税制度(NISA),建立鼓励国民把储蓄转向资产投资的新机制等,调动一切政策助推“资产收入倍增计划”。
第二,是对“科技和创新的投资”。
正如疫苗成为新冠疫情防控的关键手段,科技和创新具有解决传染病、全球变暖和少子老龄化等全球性的各种社会问题的力量。
同时,在民主主义和威权主义的激烈竞争中,最终胜负取决于科技的力量。例如,是否拥有开发和生产尖端半导体的能力,关系到国际竞争力乃至国家的安全保障。然而,遗憾的是日本企业的研发投资远低于其他发达国家。设备投资也是如此。必须扭转这种状态。
政府将明确制定国家战略和国家目标,进而提出备受企业重视的预期增长率,在政府引导下,鼓励企业积极投资。为此,我们将明确提出人工智能(AI)、量子、生物、数字和脱碳这五大领域的国家战略。在此基础上,制定大胆的激励机制,鼓励那些响应国家战略、增加研发投入的企业。
科技和创新离不开产学官合作,更离不开充满活力的学术环境。去年,日本启动了一个10万亿日元的大学基金。通过这一基金支持大学的研究开发。其前提是大学也要彻底进行治理改革,如大学经营与学术研究的分离,外部资金和外部经营层的引进等。
第三,是对初创企业的投资。
提起日本企业,人们都会想到本田、索尼等大企业。然而,这些引领日本的大企业,也是战后不久由当时的年轻人创办的初创企业。本田公司1946年由当时39岁的本田宗一郎创办。索尼公司也是1946年由25岁的盛田昭夫创建的。在美国,被称为GAFAM的企业等,也是从初创企业成长起来的。在科技领域,这些初创企业引领了美国经济的复苏。
我希望在日本掀起战后第二个创业热潮。眼下,日本也在发生变化。出现了新的动向,比如一些优秀的大学毕业生不是去传统的大企业就业,而是自己创业。日本历史最悠久的东京大学也在发生重大变化,每年有多达300多家大学创业型企业诞生。
还有一个巨大的变化,那就是,拥有解决社会问题的坚定志向的创业者不断增多。不久前,我参加了一个社会企业家座谈会,听一位女企业家介绍说,她在就读期间就启动了新事业,毕业后立即创办了一家众筹初创企业。在新冠疫情下,这家企业为那些因病患激增而面临困难的医院、因食客减少而陷入困境的餐厅等提供帮助。她曾就读于伦敦政治经济学院(LSE),是一位杰出的企业家。他们/她们是追求经济增长和社会创业“双管齐下”的“新资本主义”的实践者,我对他们/她们今后的发展寄予厚望。
我将进一步助推日本社会的这一积极变化。为年轻人营造一个能够毫不犹豫地投身于创业的环境。
为此,日本将一体化推进下列举措:建立初创企业校园,包括吸引海外一流大学;全面扩充针对初创企业的“小企业创新研究”(SBIR)制度;吸引海外风险资本(VC)以及让公共资本参与海外风险资本;促进个人金融资产及年金公积金管理运用独立行政法人(GPIF)等的长期投资资金向风险资本的投资循环;完善旨在促进初创企业成长的股权激励机制等。
我们将制定五年计划,描绘培育初创企业生态系统的整体蓝图,并明确横贯部门的“指挥塔”功能,使该计划付诸实施。
第四,是对绿色和数字的投资。
俄罗斯对乌克兰的侵略,使能源安全保障环境发生了深刻变化。除了气候变化这一迫在眉睫的问题,为了对全球能源摆脱对俄依赖做出贡献,除可再生能源以外,还将有效利用安全得到保障的核反应堆。重启现有核电站一个机组,其效果相当于每年向全球市场提供100万吨液化天然气(LNG)。
同时,以长远的视角,确保能源稳定供应,并兑现到2050年实现碳中和,到2030年实现温室气体减排46%的国际承诺。为达到这一目标,日本官民协作进行相关投资,2030年达17万亿日元,未来十年达150万亿日元。
日本有2000万亿日元的金融资产和320万亿日元的企业内部现金和存款。我们要以创新的政策倡议把巨大的金融潜力和巨额投资需求结合起来,吸引民间企业此前因前景不明而踌躇不决的相关投资,将其作为中期成长战略的支柱。
为吸引150万亿日元新的相关投资,我们要尽快制定由以下两个倡议构成的、到2030年的全面政策路线图:第一,为了提高企业的可预见性,并促进增长和创新,最大限度地利用增长导向型碳定价机制,即“促进增长的碳定价”(pro-growth Carbon Pricing)。第二,配套实施旨在加强节能标准等制度方面的对策与旨在促进长期大规模投资的资金支持措施等,充分利用管制和支持一体化的投资促进政策。
接下来,是对数字领域的投资。在劳动力人口不断减少的背景下,当务之急是有效运用数字技术,官民并举,积极推进数字化转型。数字服务是创造新附加值的源泉,也是解决日本各地所面临的少子老龄化、人口稀疏化等问题的关键。包括为推进区块链、非同质化代币(NFT)、元宇宙等web 3.0营造环境,打造一个新服务易于诞生的社会。
在此之际,有必要大胆调整不适合科技进步的制度和管制。在去年成立的数位厅的推动下,正在推进大改革,针对4万多项模拟型管制,在3年内全面进行调整。此外,为迎接全面数字经济的到来,用5年左右的时间,推进5G和光纤建设,争取覆盖99%的需求,实现世界最高水平的数字基础设施。
以上介绍了新资本主义的四大关键支柱。要成功推动上述政策课题和应对措施,必须有强有力的宏观经济架构以及金融市场改革来做支撑。我将继续一体化推进大胆的金融政策、灵活的财政政策和促进民间投资这一增长战略。
在严峻的财政状况下,为真正实现“灵活的”财政政策,从两个意义上来推进财政改革。
第一,关于预算的单年度主义。为了提升国家长远方向性和可预见性,以帮助企业预期今后的增长,将充分利用基金等,打破预算单年度主义。第二,在税制方面,积极引进动态思维,即现行减税等激励措施会在未来带来增收。
最后,我想阐述一下金融市场改革。要想实现今天阐述的新资本主义,作为国际金融中心的日本的复苏是必不可少的。
我在担任自民党政调会长期间做出了各种决策,包括为促进海外投资经理的参与而营造环境;修订公司治理准则;加大专业投资者要件弹性化等。我将继续扎实推进各项举措。特别是日本的公司治理改革在这十年间大有进展。今后,还将大力推动改革,帮助企业提升中长期价值。
此外,通过我刚才提到的“资产收入倍增”计划,唤醒沉睡着的1000万亿日元规模的储蓄,让它们为激发市场活力而发挥作用。为在2050年实现碳中和,日本将推进绿色债券市场以及面向亚洲的过渡债券市场的建设。
今天,我将告别伦敦,踏上归途。当我回到日本,距离夏季政治决战、参议院选举公示只剩下不到50天了。鉴于当前的乌克兰危机、日本安全保障环境的恶化以及原油价格的飙升等经济危机,政府的稳定性不能受损。我无论如何要取得胜利,为兑现我今天阐述的各项计划而赢得支持。
Kites rise highest against the wind - not with it.(风筝总是在逆风时飞得最高,而不是在顺风时。)
如今,我再一次咀嚼回味着丘吉尔元首相的这句名言。乌克兰危机、威权主义国家的崛起、气候变化、贫富差距。阵阵暴风袭来,身处当今世界,我决不随风逐流。
明年日本将担任七国集团的主席国。作为民主主义国家的旗手,日本将高举新资本主义理念的旗帜,迎着“暴风”果敢向前迈进。
最后我承诺,我要像迎风翱翔的风筝一样,有朝一日定将重回此地。我的演讲到此结束,感谢各位的聆听。
本日、世界随一の金融街であるロンドン・シティで講演の機会を持てたことを感謝しています。この講演の実現に御尽力いただいた、ロード・メイヤー・チャールズ・ボウマン卿を始めとするシティ・オブ・ロンドン・コーポレーションの皆様に、心より御礼申し上げます。
ロシアによるウクライナ侵略という暴挙は、主権と領土の一体性を力によって変更しようとする明確な国際法違反です。また、ブチャ等においては極めて非人道的な民間人への攻撃も明らかになっています。
こうした国際法違反、戦争犯罪を伴う行動は、断じて許されず、最も強い言葉で非難いたします。
特に、核兵器の使用についての脅威を、現実のものとして考えないといけない状況となってしまったことに、私は、特別な、そして強い感情を抱きます。それは、私が、被爆地広島出身の政治家だからです。親類縁者には、被爆者や、被爆死した人間もおり、子供の頃から、何度も核兵器の話を聞いてきました。それが、私の原体験になっています。
こうした広島の記憶が、私を、平和を取り戻すための行動に駆り立てます。
平和を実現するためには、国際社会として、暴挙には代償と責任が伴うことを、明確に示していかなければなりません。英国政府が、そして英国民が、毅然(きぜん)とした姿勢でロシアに臨み、ウクライナに手を差し伸べていることに、最大限の敬意を表します。
我が国も、ロシアの侵略直後から経済制裁、人道支援に全力を挙げています。引き続き、英国始め国際社会と連携し、一日も早くこの非道な行いをやめさせ、平和を取り戻すために、毅然と対応していきます。
そして、ウクライナ侵略により、原油・資源・穀物高、市場の不安定など、世界の経済は激震に見舞われています。コロナ禍と相まって、多くの国が経済的苦境に立たされています。
民主主義を守る戦いのためには、我々自身が強くなければなりません。
今年のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)のテーマは、「共に、より力強い回復」です。イギリス訪問に先立ち、今年のG20議長国であるインドネシア、そして、ベトナム、タイを訪問し、アジアの諸国と共に、力強い回復を目指すことを確認してきました。日本は、エネルギー調達の多角化、再エネの最大限導入や原子力の活用を通じたエネルギー源の多様化など自らのエネルギーの自給率の脆弱(ぜいじゃく)性を克服するとともに、世界の回復にも積極的に貢献していきます。
今回の問題は、ヨーロッパだけの問題ではありません。アジアを含む世界の秩序に関わる問題です。誤ったメッセージが伝わり、力による一方的現状変更が万一にも繰り返されることのないよう、各国と協調し、断固たる決意で行動いたします。
時代は大きな変化の時を迎えていますが、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日英は、安全保障においても、経済においても、これからも良いパートナーであり続けます。
皆さん、我々が信じる価値を守り抜くために、更に一致団結していこうではありませんか。
その上で、今日は、私が提唱する経済政策、特に新しい資本主義についてお話ししたいと思います。私からのメッセージは一つです。「日本経済は、これからも、力強く成長を続ける。安心して、日本に投資して欲しい。」、Invest in Kishidaです。
もちろん、日本には多くの課題があります。私は、この解決のため、先頭に立って真正面から改革を進める覚悟です。
地政学的リスクの在り様が大きく変化し、サプライチェーンの組替えや、資源・エネルギーの調達や供給の在り方が想像しない形で変わる不安定な時代です。だからこそ、日本の安定性が強みになります。
成長を続け、しかも安定している日本市場、安全・安心な日本企業・製品・サービスは買いだと申し上げます。
本題に入る前に、簡単な自己紹介をいたします。私は、幼少時代、父親の仕事の関係で、ニューヨークで現地の小学校に通いました。子供ながら、米国経済の豊かさと、その多様性に大きな感銘を受けました。
1982年から1987年には、日本の産業復興を支援する銀行で働きました。戦後の日本の総理大臣の中で、金融業界出身は私が初めてです。国際競争に苦しむ海運業界の融資担当として、いくつかの倒産も経験しながら、経営者と協力して、企業の再建をお手伝いいたしました。
こうした仕事を通じて、民間のアニマルスピリッツに支えられた強い経済こそ、最も重要だと強く確信いたしました。1993年に国会議員に当選した後も、産業政策や科学技術政策、あるいは中小企業政策、こうした政策をライフワークとして、日本経済の活性化に取り組んできました。
こうした経験から、私は、最近の総理大臣の中では、最も経済や、あるいは金融の実態に精通した人間だと自負しており、これからもマーケットの声、現場の声をよく聞き、政策を進めてまいります。
その際大切なことは、日本は、これまでも、そしてこれからも、世界に開かれた貿易・投資立国であり続けるということです。世界とつながり、世界とヒト、モノ、カネ、デジタルが自由に往来することで、日本は成長していきます。
昨年末、オミクロンの世界的拡大を受けて水際対策を強化しましたが、それは、国内への流入をできるだけ遅らせ、医療提供体制確保やワクチン接種を進めるために必要なことでした。お陰様で世界的に見ても、日本のコロナ対応は成功しています。
現在では、大幅な緩和を実現し、6月には、他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を更に緩和していきます。
英国が、古くから、そして、近年では、ここシティを中心に国際金融の一大拠点として、世界とつながることで、繁栄してきたように、同じ海洋国家である日本も、世界とつながることが、発展のための必要条件であると確信しています。
こうした考えの下、日本は近年、世界で最も、自由貿易を推進してきた国です。昨年、日英EPA(経済連携協定)を発効させ、今正に、手続きが進んでいる英国のTPP(環太平洋パートナーシップ)加盟を強く支持しています。
日本は、今後とも世界に対してオープンです。是非、日本にお越しください。最大限のおもてなしをいたします。
さて、本題に入ります。
新しい資本主義とは何か。一言でいえば、資本主義のバージョンアップです。より強く、持続的な資本主義です。
なぜバージョンアップが必要か。それは、2つの現代的な課題を解決する必要があるからです。1つは、格差の拡大、地球温暖化問題、都市問題など外部不経済の問題です。グローバル資本主義は、成長をけん引し、人々を豊かにしました。その功績は正当に評価されるべきですが、同時に、負の側面ももたらしています。
もう1つは、権威主義的国家からの挑戦です。ルールを無視した、不公正な経済活動等によって急激な経済成長を成し遂げた権威主義的体制から、自由主義と民主主義が厳しい挑戦に今さらされています。我々は、自らの経済を持続可能で、包摂的なものとすることで、自由と民主主義を守らなければなりません。
こうした2つの課題に、資本主義のバージョンアップで対応していきます。資本主義は、これまで、少なくとも2回、大きな転換を経験しています。レッセフェールから福祉国家、福祉国家から新自由主義への転換です。これら2回の転換では、「市場か国家か」、「官か民か」、振り子のように大きく揺れてきましたが、3回目の転換、すなわち「新しい資本主義」においては、「市場も国家も」、「官も民も」、すなわち「or」ではなく「and」でつなぎ、官民連携で新たな資本主義を作っていきます。
官はこれまで以上に、民の力を最大限引き出すべく行動し、一方で、これまで官の領域とされてきた社会課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらいます。
新たな資本主義の下では、社会課題を障害物と捉えるのではなく、成長のエンジンへと転換していきます。官が呼び水となって、課題とされる分野に新たなマーケットを作り、民間の投資を集め、官民連携で社会課題を解決するとともに、力強く成長する。二兎(にと)を追うことで、持続可能な経済を作ります。
そのためには、1つは、分配の目詰まりの解消、2つ目として、付加価値を生む分野への過少投資の克服、3つ目として、新分野への労働移動の後押し、4つ目、多様性の取り込み、5つ目、健全な新陳代謝の実現、こうしたものを進めなければなりません。
具体的に何にどのように取り組んでいくのか。「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップ投資」、そして、「グリーン、デジタルへの投資」、この4本柱です。
まず、岸田政権の成長戦略の中核に、人的資本への投資を位置付けます。これからの時代、有形資産「モノ」より無形資産「コト」が重要になってきます。特に、デジタル化や脱炭素化といった大きな変革の波の中で創造性を発揮するためには、人が大切です。とりわけ、我が国は、今後、労働力不足の局面に入り、付加価値をいかに創造していくかがより重要になってきます。
そうした中、フローとストック両面で人への投資を伸ばしていく必要があります。フロー面での人への投資といえば、まずは賃金です。単位時間当たりの労働生産性の伸びは諸外国と比べて悪くないのに、賃金の伸びが低いことが我が国の大きな課題です。賃金が伸びなければ、消費にはつながらず、次なる成長も導き出せません。生産性を上昇させるとともに、それに見合った形で賃金を伸ばすために、賃上げ税制を導入するなど、官民連携して賃上げの社会的雰囲気を醸成します。
次に、ストック面での人への投資については、職業訓練、学び直し、生涯教育などへの投資が重要です。この分野への我が国企業の投資は諸外国と比べて格段に少ないのが実情です。政府として、既に3年4,000億円のパッケージを導入していますが、今後更に教育訓練投資を強化して、人的資本の蓄積を推進することで、労働移動、雇用流動化を積極的に支援していきます。特に兼業・副業の推進とともに、リスキリングに力を入れます。
その際、重要なキーワードは、多様性です。我が国には、素晴らしい女性や若者がたくさんいます。さらには、外国人の方も増えています。これからの日本企業は、組織の中でこうした多様性をもっといかさなければなりません。働き方を柔軟化するとともに、子育て支援などを充実することで、多様性を成長につなげることを応援します。
そして、もう一つ重要なストック面での人への投資が、「貯蓄から投資」です。我が国個人の金融資産は2,000兆円と言われていますが、その半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この20年間※で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません。ここに日本の大きなポテンシャルがあります。
私は、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現いたします。そのために、NISAの抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して「資産所得倍増プラン」を進めていきます。
2つ目が科学技術・イノベーションへの投資です。
コロナ禍でワクチンが切り札になったように、科学技術・イノベーションには、感染症・地球温暖化・少子高齢化など、世界が直面する様々な社会課題を解決する力があります。
同時に、民主主義と権威主義の競争が激化する中で、最終的な勝者を決めるのは、科学技術の力です。例えば、先端半導体を開発・生産できる力を持っているかどうかが、国際競争力、あるいは国家安全保障を左右します。
しかし、残念ながら、我が国企業の研究開発投資は、先進諸国と比較して圧倒的に少ない状況です。設備投資も同様です。これを転換しなければなりません。
国が国家戦略・国家目標を明確に提示することで、企業が重視する将来の期待成長率を示し、国家が呼び水となって企業の投資を引き出します。
このため、AI(人工知能)、量子、バイオ、デジタル、脱炭素、この5領域において国家戦略を明示していきます。その上で、こうした国家戦略に応じて、研究開発投資を増加する企業に対しては、大胆なインセンテイブを付与していきます。
科学技術・イノベーションには、産学官の連携、とりわけアカデミアの活性化が不可欠です。昨年、10兆円の大学基金を立ち上げました。この基金を通じ、大学の研究開発を支援していきます。その前提として、大学においても、経営と学問の分離、外部資金や外部経営陣の導入などのガバナンス改革を徹底していきます。
3点目がスタートアップ投資です。
日本企業といえば、ホンダやソニーといった大企業が思い浮かべられると思います。しかし、こうした日本をけん引してきた大企業も、もともとは、戦後間もなく、当時の若者が起業したスタートアップでした。
ホンダは1946年に39歳の本田宗一郎が起業しました。ソニーも1946年に25歳の盛田昭夫が起業した会社です。
米国においても、GAFAMなどの企業は、スタートアップから大きく成長しました。テクノロジー分野での米国経済の復活は、こうしたスタートアップがけん引しました。
私は、戦後に次ぐ、第二の創業ブームを日本で起こしたい。
足元では、日本も変化しています。優秀な大学生が、卒業後に、伝統的な大企業に就職するのではなく、スタートアップを起業する動きが出てきています。日本で最も歴史がある東京大学でも、大きな変化が起き、300社以上の大学発ベンチャー企業が生まれています。
もう一つ大きな変化があります。それは、社会的課題の解決の強い志を持った起業家が増えていることです。先日、社会的企業家との会合に参加した際に話を伺った、ある女性経営者は、在学中に新しい事業を開始し、卒業後すぐに、クラウドファンディングのスタートアップを始めました。コロナ禍では、患者急増で苦労する病院や、客が少なくなって困っているレストランなども支援してきました。LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)で学んだ経験もある素晴らしい経営者です。経済成長と、社会的起業の二兎を追う新しい資本主義の担い手として、彼ら、彼女達の今後の活躍を大いに期待しています。
私は、こうした日本社会の前向きな変化を、更に後押ししていきます。若者が、躊躇(ちゅうちょ)なく、スタートアップに飛び込んでいける環境を整備します。
そのために、海外の一流大学の誘致を含めたスタートアップキャンパスの創設、スタートアップへのSBIR制度(中小企業技術革新制度)の抜本拡充、海外のベンチャーキャピタルの誘致と海外ベンチャーキャピタルへの公的資本の参加、さらには、個人金融資産及びGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)等の長期運用資金のベンチャー投資への循環、さらには、スタートアップの成長を図るためのストックオプション等の環境整備、こうしたものを一体的に進めます。
こうしたスタートアップエコシステム育成の全体像を、5か年計画としてまとめるとともに、実行のための横断的な司令塔機能を明確化していきます。
4点目は、グリーン、そしてデジタルへの投資です。
ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギー安全保障をめぐる環境を一変させました。
喫緊の課題である気候変動問題に加え、世界全体でのエネルギーの脱ロシアに貢献するためにも、再エネに加え、安全を確保した原子炉の有効活用を図ります。既存の原発一基が再稼働すれば、年間100万トンのLNG(液化天然ガス)を世界市場に新規に供給するのと同じ効果があります。
あわせて、長期的な視野を持って、エネルギーの安定供給を確保しながら、2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46パーセント排出削減という国際約束を実現していきます。その目標を達成するため、我が国において、2030年に17兆円、今後10年間で、官民協調により150兆円の新たな関連投資を実現いたします。
我が国には、2,000兆円の金融資産、320兆円の企業内部の現預金があります。巨大な金融潜在力と巨額の投資ニーズをイノベーティブな政策イニシアティブにより結び付け、民間企業が先行き不透明でためらっている関連投資を引き出し、中期的な成長戦略の柱としていきます。
150兆円の新たな関連投資を引き出すため、第一に、企業の予見可能性を高めつつ、一方で、成長やイノベーションを促進するような成長志向型カーボンプライシング、いわば“pro growth Carbon Pricing”の最大限活用、第二に、省エネ基準強化など制度面での対策と、長期大規模投資を促進するための支援などの資金支援をセットで講じる、規制・支援一体型投資促進策の活用という2つのイニシアティブからなる、2030年までの包括的政策ロードマップの策定を早急に進めます。
そして、デジタルへの投資です。労働人口が減少する中で、デジタル技術の活用が急務であり、官民双方で、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進します。
デジタルサービスは、新しい付加価値を生み出す源泉であり、日本の地方が直面する少子高齢化や、過疎化といった課題を解決するための鍵でもあります。ブロックチェーンや、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)、メタバースなど、web3.0の推進のための環境整備を含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現いたします。
その際、テクノロジーの進展に合わない制度や規制は大胆に見直す必要があります。昨年発足したデジタル庁の下、4万以上のアナログな規制を洗い出し、3年間で一気に見直す、大改革を今進めています。
さらには、本格的なデジタル経済の到来を見据え、5年程度で、99パーセントの需要をカバーできるように5Gや光ファイバーの整備を進め、世界最高水準のデジタルインフラを実現いたします。
以上、新しい資本主義について、ポイントとなる4本柱をご紹介しました。
こうした政策課題・対応が成功するためには、それを支える強いマクロ経済フレームワークと金融市場改革が必要です。
引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めます。
そして、厳しい財政状況の中で、真に機動的な財政政策を実現するため、2つの意味で、財政の在り様を改革していきます。第一は予算の単年度主義です。国の長期的方向性や予見可能性を高め、企業が将来の期待成長率を導き出せるよう、基金等を活用して、予算単年度主義を打破していきます。第二に、税制においても、現時点での減税等のインセンティブが将来の増収をもたらすという動的思考を積極的に導入していきます。
最後に、金融市場改革について申し上げます。本日申し上げた新しい資本主義を実現するためには、国際金融センターとしての日本の復活が必要です。
私は、自由民主党政調会長時代、海外投資運用業者の参入を促す環境整備、コーポレートガバナンス・コードの改訂、そして、プロ投資家の要件弾力化等を決定しました。引き続き着実に取組を進めていきます。
特に、日本のコーポレートガバナンス改革は、この10年で大幅に進展しましたが、企業の中長期的な価値向上を可能とする改革を更に強力に進めていきます。
加えて、先ほど私が申し上げた「資産所得倍増プラン」によって、眠り続けてきた1,000兆円単位の預貯金をたたき起こし、市場を活性化するための仕事をしてもらいます。
また、2050年カーボンニュートラルを見据えて、グリーンボンド市場、アジア向けのトランジショナルボンド市場の整備を進めていきます。
今日、ロンドンを離れ日本に戻れば、いよいよ夏の政治決戦、参議院選挙公示まで50日を切ることとなります。
現在のウクライナ危機、日本をめぐる安全保障環境の悪化、そして原油高等の経済危機を考えると、政府の安定を損なうことは許されません。石にかじりついても勝ち抜き、今日お話しした様々なプランを実行するための力を得ます。
Kites rise highest against the wind - not with it.(凧(たこ)が一番高く上がるのは、風に向かっているときである。風に流されているときではない。)
私は、今、改めて、チャーチル元首相の言葉を、かみ締めています。ウクライナ危機、権威主義的国家の台頭、気候変動、格差問題。暴風が吹く、現代世界において、私は決して、風に流されたりしません。
特に、来年は我が国がG7の議長国です。民主主義国家の旗手として、新しい資本主義という理念を掲げながら、この暴風に向かって真正面から向き合っていきます。
そして、高く舞い上がった凧として、またこの場に戻ってくることをお約束して、私からのスピーチを締めたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。